日本のトップークリエイターを数多く育て上げた

2011.05.17

昭和33年、NDKがディオールから独立したばかりの若きピエールーカルダンを招いて立体裁断の有料講習会を開催したんです。その受講料って幾らだと思います?「確かあの当時でひとり数万円の聴講料を取ったんだ。今の試算でいえば百万円近い金額だな。それでも抑せや押せやの大反響で、カルダンは相当に懐を温めて帰国したもんさ」と、長年にわたりNDKの理事長を務めたハナエーモリーグループの森賢会長(僕は彼の秘書からキャリアをスタートしました)が、後年懐かしそうに話してくださったのが今でも記憶に残っています。余談ですが、この技術講習会でモデルを務めたのが若き日の松本弘子さんでした。一目で彼女を気に入ったカルダンが彼女を口説いてパリヘと渡らせ、自分のメソンの専属マヌカンにしたのは有名な話です。高田賢三やコシノジュンコ、松田光弘をはじめ日本のトップークリエイターを数多く育て上げた文化服装学院の小池千枝先生が立体裁断を学校教育に導入すべくフランスへと渡ったことからも、この当時の日本のモード界にとってこの立体裁断というテクニックが技術向上の一里塚であったことを物語っています。