住宅所有に対する欲求は高度成長期にふくらみ、より多くの大たちが住まいの「梯子」を登り始めた。住宅改善を希望する世帯のなかで持家を指向する世帯は、一九五五年の住宅事情調査では五二%であったのに対し、六六年の住宅需要調査では七四%、六九年の同調査では九〇%に跳ね上がった。これ以降の多彩な調査は持家指向の強さを一貫して示している。人びとが持家を求めたのは、暮らしのセキュリティ形成において住宅所有が大きな役割を果たすからである。
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持家社会は住宅所有の達成を前提とした「普通の人生」のモデルを備える。そこでは借家人の多くは不安定な暮らしを余儀なくされ、持家取得に到達することがセキュリティの条件になる。持家と借家は住宅の物的安定に関して大きな違いを示し、住むための空間の所有は暮らしの安全に貢献した。住宅・土地統計調査によれば、二〇〇三年の住宅の平均延床面積は、借家では四六平方メートル、持家では二一四平方メートルであった。両者の面積には三倍近くの差がある。借家市場では良質の住宅の確保が難しく、家族向けの広さの住宅はとくに少ない。