ピジョンブラッドのルビーも実は整形美人

2011.06.22

「身体髪膚、これを父母に受く」などといっても、若い人には何のことやら分からないでしょうが、昔は親からもらった体を傷つけてはいけないと戒められたものです。ですから、美容整形などはもってのほか。刺青を入れるときは親から勘当されるのも覚悟の上でした。しかし、時代が変われば常識も変わるものです。女性週刊誌を見れば美容整形の広告ばかりですし、街には美容整形外科の看板があふれています。プチ整形は当たり前、高校生や中学生にまで美容整形は広がり、ついには男性までが美容外科の門を叩く時代になりました。「どうしても美しくなりたい」という女性の願望は尽きることがないのでしょう。その女性をよりいっそう光り輝かす宝石。その宝石の九割以上、いやほとんどすべてが「整形美人」といったら驚かれるでしょうか。永遠の輝きを放つダイヤモンドも妖しいピジョンブラッドのルビーも実は整形美人なのです。「そう言うかもしれないが、私のものは大丈夫。ちゃんと鑑別書があるもの」宝石を購入する際に消費者が頼りにしているのは鑑別書や鑑定書でしょう。鑑別書があるから自分のは色処理されていない、と思いたいところですが、天然石かどうかは鑑別書で分かりますが、色処理を施しているかどうかは鑑別書を見ても分からない場合が多いのです。もちろん、きちんとした鑑別機関に色処理について調べてもらえば、「ナチュラル」「エンハンスメント」「トリートメント」などと判定してもらえます。ナチュラルは天然色、エンハンスメントは本来の色を引き出すための処理、トリートメントは人工的に外から加えられた着色処理という意味です。ただし、こうした色処理については、購入者から求められなければわざわざ鑑別はしません。むしろ鑑別機関自体は色に関する情報を明確にしたがらない傾向があります。鑑別機関は業者から仕事を得ているために、どうしても業界におもねることになりがちです。素材は天然石だが色をよく見せるために手が加えられたものを本物と見なすか偽物と断じるか、議論の分かれるところです。人工色のものより天然の色のほうがいいに決まっていますが、濁っている天然の石に処理を施すことによってはるかに美しくなる石も多々あるのです。天然色にこだわるか、人工色を許容するかは消費者の判断に委ねられることですが、色処理宝石だとはっきり明記しないのは詐欺的行為だと非難されても仕方ありません。鑑別機関は業者のほうを向いて仕事をするのではなく、あくまで中立の立場で鑑別を行い、正しい情報を公開するという原則を作るべきだと思います。宝石業界がいかがわしいという印象を持たれないためにも、早急に色処理の有無を鑑別書に明記するよう義務づけるべきでしょう。そうは言っても、当分現状は変わらないでしょう。