ボタンの正体は座席を広げるしかけ

2012.01.14

走行中、通路を歩くことはほとんどない。それを見越して席を通路側に少しずらすことができる仕かけにしたのだった。実際、座ってみればわかるが、通路を挟んで四人が座るタイプでも、通路側の椅子と窓際の椅子の間に空間ができるとずいぶん楽である。バスの座席の狭さが軽減され、押し込められるというストレスがスーっと軽くなるのだ。このバスは中国製だったが、そんな装置まで備えていたのである。その後、僕らは中国のバスに揺られていくが、ほとんどのバスにこの装置がついていた。

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やはりすごいことだった。窓の外には、遼寧省の冬ざれた景色が広がっていた。レンガ造りの家の煙突から白い煙が立ち昇っている。刈りとられたトウモロコシが積みあげられ、綿入れのようなもこもことした上着姿の農夫が寒風のなかで働いている。煤けた顔や服装は貧相で手袋すらしていない。中国泉北部の厳しい暮らしが窓の外に見渡せるのだが、車内はぽかぽかと暖房が効いた別世界である。高速道路は立派で、片側二車線の道が平原のなかをまっすぐに延びている。高速道路などという事業は、中国のような政治体制のほうが進めやすいことをうかがわせる道筋である。