ジェラルドーアザリア社長の案内で、シャツとネクタイの製作現場を取材しました。近ごろの私にとって、アトリエほど胸を躍らせる場所はありません。そこでは、魔法のような職人の指先によって、つぎつぎと艶やかなシャツが生まれます。熱気に満ち溢れたアトリエを眺めていると、噂とはいえ、ランバンのメンズスーツの「ラベル」が今でも各国のホテルで盗まれているという人気の秘密がわかるような気がしてきました。アトリエには、最高級のエジプト綿が山と積まれています。触感、色の良さは、思わずほおずりしたくなるほど。熟練の職人が、慣れた手つきでハサミや錘を使い、その生地にカットやパターンメイクを行っていました。そこには0・1ミリのずれもありません。仕上がりは重厚でふんわり。見ていて「これは神業だ」と感激してしまいました。ランバンでは、世界中の大統領、首相、王侯貴族のシャツとネクタイの型紙が保存され、ひとりひとりの名前入りの箱に収められています。シラク大統領は、ここのネクタイがたいへんお気に入りだとか。ランバンのネクタイの特徴は、絹の織生地だけを表裏とも使い、長さは顧客に合わせて調整することです。フランスーアカデミー会員の式典の礼服もランバンが担当して製作しています。こうした伝統や歴史や技術が、メンズのシャツやネクタイ作りにも込められているのです。
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