四〇を過ぎた大人が、人前で容赦なくどやしつけられるのです。常識では考えられない世界かもしれません。怒鳴られながら何度も心の中で、「ここでやめたら逃げになる。この人から絶対に逃げない。この人から絶対に笑顔をもらう。あなたがいないと私は困ると、絶対彼女に言わせてみせる」と繰り返しました。彼女の厳しさもまた、完璧主義から生まれるものです。自分が役柄を考えて想像した髪型をピシっと結えるか、もっといい髪型を結えるかどうか。結えなければ容赦なく叱る。それだけのこと。ですから言われたラインがつくれず、「ここが違う」「なんでできないの!」と怒られても、自分のプライドや自我が傷つくということはありませんでした。なぜなら、できないのは事実だから。結果勝負の仕事ですから、怒られないためには応えていくしかない。